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睡眠障害とは 睡眠障害の種類 睡眠障害の原因 睡眠障害の治療法

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睡眠障害とは

睡眠障害とは、寝つけないこと、熟睡できないこと、逆に起きていられないこと、睡眠中に異常行動を起こす夜驚症や夢遊症など、人間の睡眠と覚醒に関連する病気のすべてを指します。 睡眠障害は、いわゆる”不眠症”やその逆の”過眠症”、生体リズムのズレが原因となる”リズム障害”などを含む「睡眠異常」、睡眠中に見られる運動・行動の異常である「睡眠時随伴症」、心身の病気の結果として出てくる「病気をともなう睡眠障害」、「その他」、の4つに分けることができます。

睡眠は人が健康に生きていくために欠かせませんが、その理由や機能についてはまだ完全には解明されていません。必要な睡眠時間には個人差が大きく、健康な成人でも毎日の睡眠が4時間で足りる人から10時間を必要とする人までさまざまです。 したがって、寝つけない、夜中に目が覚めてしまう、早朝に目が覚めてしまう、熟睡できない、日中の過度の眠気、睡眠中に呼吸がときどき止まる、ひどいいびきや息苦しさ、悪夢をみる、家族から睡眠の異常を指摘されるなど、不快な症状、異常な状態を自覚し、睡眠日記などの睡眠歴や一般の病歴、診察、血液検査などの睡眠検査で異常を認められる場合は、睡眠障害という診断がなされます。


睡眠障害の種類

睡眠障害は、いわゆる”不眠症”やその逆の”過眠症”、生体リズムのズレが原因となる”リズム障害”などを含む「睡眠異常」、睡眠中に見られる運動・行動の異常である「睡眠時随伴症」、心身の病気の結果として出てくる「病気をともなう睡眠障害」、「その他」に大きく分けられます。

【睡眠異常】

◎不眠症
睡眠障害の発生件数の過半数を占める「不眠症」とは、その人の健康を維持するために必要な睡眠時間が量的にあるいは質的に不足し、そのために社会生活に支障をきたしたり、自覚的にも悩んでいる状態をいいます。ですから睡眠4時間で足りる人は不眠症ではありません。症状がどのくらい続いているかによって、数日の場合には「一過性不眠」、1~3週間の場合には「短期不眠」、1ヶ月以上続く場合には長期不眠と呼びます。一過性不眠は普段は睡眠が正常な人が海外旅行などによる時差や、試験の前日など特別な緊張を伴う出来事があったときに、数日間だけみられる不眠です。短期睡眠はやや長く続くストレスで、近親者の死や仕事や家庭のトラブルや身体の病気のときなどにも見られます。長期不眠は本格的な不眠で、代表的な症状に「入眠障害」「中途覚醒」「早朝覚醒」「熟眠障害」があります。

●入眠障害
いわゆる「寝つきが悪い」という症状。一般的に眠るまでに30分以上を要し、それを本人が苦痛と感じていれば入眠障害であるといえます。心配ごとや精神的ストレスなどで起こりやすくなるほか、就寝前の体温、明るさなどの環境にも影響されます。

●中途覚醒
夜中に何度も目が覚めてしまったり、一度目が覚めるとなかなか寝付けなくなる症状です。高齢者に多いものの、慢性的な運動不足の若い世代にも見られます。

●熟眠障害
一定の睡眠時間は確保できているものの、熟睡できた感覚がなく、心身の疲労も回復できない症状です。「睡眠時無呼吸症候群」や「むずむず足症候群」などの病気が原因であることも多いようです。

●早朝覚醒
望ましい起床時刻よりもずっと早く目覚めてしまい、それ以降眠れなくなります。高齢者に多く見られますが、若い世代でも中途覚醒と並んでうつ病の初期症状と考えられる場合もあります。

その他、病気の治療薬による副作用として生じる不眠や身体疾患による不眠、精神疾患による不眠、痴呆を含む脳器質性疾患による不眠などがあり、これらは「特定の疾患に伴う睡眠障害」に位置づけられます。

◎過眠症
大切な会議・商談中や危険な作業中、食事中でも耐え難い眠気に襲われ、急に眠り込んでしまう症状で、「ナルコレプシー」という病気が代表的です。抗ヒスタミン感冒薬などの薬剤によるものや、「睡眠時無呼吸症候群」が原因で起こる場合もあります。

●「ナルコレプシー」
急に睡魔に襲われて眠ってしまう「睡眠発作」と呼ばれる症状に加えて、笑ったり、驚いたりすると身体の力が抜ける情動脱力発作、眠りぎわの金縛りや怖い夢などが一緒に起こります。特徴的なことは、日中反復する居眠りは毎日、何年間にもわたって続くことです。ナルコレプシーは、体質性の病気で特定の白血球の血液型(HLADR15)と関連しており、脳内のオレキシンという物質の低下が病態に関係していることがわかってきました。「睡眠時無呼吸症候群」を合併している場合が多いといいます。

◎概日リズム睡眠障害
体内の活動と休息のリズムが、昼夜のリズムや社会の活動リズムと一致しないために起こる睡眠障害です。「時差ぼけ」や、夜勤や遅寝遅起きを繰り返した結果、昼夜が逆転してしまう「睡眠相後退症候群」などがあります。これらは体内時計との関わりが大変深く、時計遺伝子に変化が起こって体内時計がうまく働かなくなったために起きるのではないかと考られます。ズレのリズムによって下記のパターンがあります。

●睡眠相前進     
高齢者に多く、患者は夕方になると強い眠気を覚え起きていられず、20時前には入眠してしまいます。そして、早朝2-3時頃には覚醒してしまい、その後再入眠することができません。就業時間中は覚醒していることが多いので、社会適応上の問題は少ないものの、夕方からの社会生活には支障が生じます。朝の一定時刻までサングラスなどを用いて太陽光を避けるのも有用です。

●睡眠相後退     
概日リズム睡眠障害の中で最も頻度が高いもので、夜型生活が習慣になると通常の時刻に眠り、望まれる時刻に起床するというリズムに戻すことが困難になります。患者は日中の行動や心理状態とかかわりなく朝方まで入眠できず、いったん入眠すると比較的安定した睡眠が得られ、遅い時刻まで起きられません。深部体温リズムやホルモンを測定して生体リズムを調べると、通常の生活ができる人と比べて3~4時間遅れていることがわかります。10~20代に多くみられます。高照度光を用いて生体リズムを遅らせることで症状が改善します。

●非24時間リズム
本人の意思とは関わりなく、睡眠時間帯が毎日およそ1時間ずつ遅れていきます。深部体温リズムやホルモンを測定して生体リズムを調べると、睡眠と同じように毎日少しずつ生体リズムが遅れていくのがわかります。夏休みなどの長い休暇や受験勉強などによる昼夜逆転生活が発症の契機となり、10~20代に多くみられます。高照度光を用いて生体リズムを遅らせることで症状が改善します。

◎睡眠呼吸障害
代表的なものが「睡眠時無呼吸症候群」です。

●睡眠時無呼吸症候群
睡眠時無呼吸症候群とは、睡眠時に呼吸停止または低呼吸になる病気です。夜間睡眠中に「無呼吸」が30回以上あるか、「無呼吸・低呼吸指数」が5以上の場合を睡眠時無呼吸症候群と定義しています。 睡眠時無呼吸症候群は、肥満者に多い上気道の閉塞によるもので呼吸運動はある「閉塞型」、呼吸中枢の障害により呼吸運動が消失する「中枢型」、閉塞型と中枢型の混合した「混合型」の3種類がありますが、ほとんどは閉塞型で、中枢型は少ないといえます。
閉塞型睡眠時無呼吸症候群は、睡眠中の筋弛緩により舌根部や軟口蓋が下がり気道を閉塞することが主な原因です。途切れがちに続く大きなイビキが特徴で、10秒以上の呼吸停止が一晩に数十回以上起こり、睡眠が中断されます。他に、日中の強い眠気、抑うつ、頻回の中途覚醒などがみられます。集中力の低下、高血圧、狭心症、心筋梗塞、脳梗塞などを合併するケースも多く、運転中の事故など社会問題にもなっています。

【睡眠時随伴症】

「睡眠時随伴症」とは、睡眠中に起こる心身機能の異常を総称します。
覚醒障害としては錯乱性覚醒、睡眠時遊行症、夜驚症が、睡眠・覚醒移行障害としては律動性運動障害、睡眠時ひきつけ、寝言、夜間下肢こむらがえりなどが、通常レム睡眠に随伴する睡眠時随伴症としては、悪夢、睡眠麻痺、睡眠関連陰茎勃起障害、レム睡眠行動障害などがあります。その他の睡眠時随伴症としては、歯ぎしり、夜尿、いびき、発作性ジストニア、夜間突然死症候群などがあります。

●夜驚症       
夜間深い睡眠中に突然恐怖の叫び声をあげて起上がり、強い不安、体動、頻脈、呼吸促迫、発汗など自律神経系の興奮を示します。数分間は周囲に対する反応が極めて乏しく、失見当識と保続的な動作がみられます。覚醒後夜はごく断片的にしか記憶していません。小児に多い病気です。 経過観察で自然治癒が期待できますが、長期化する場合は、抗不安薬などを投与する場合があります。

●睡眠時遊行症(夢中遊行症、夢遊病)
深い睡眠中に突然ベッドから起き上がり、数分から30分間ほど徘徊します。自分でドアを開けたり障害物を避けたりして覚醒しているように見えますが、目はすわり、うつろな表情で、周囲の人が止めようとしたり話し掛けたりしても反応が極めて乏しく、はっきり覚醒させることが困難です。翌朝目覚めた時は、夢中遊行についての記憶がありません。小児に多い病気です。経過観察で自然治癒が期待できますが、長期化する場合は、抗不安薬などを投与する場合があります。

●レム睡眠行動障害
老人に多く、夜間睡眠中に起こるせん妄状態で通常恐ろしい幻視・幻触と興奮・多動を伴います。睡眠ポリグラフィーにより筋肉の緊張消失の見られないレム睡眠期が見られることが特徴的です。特発性で50~60歳代以上に多くみられますが、レム睡眠行動障害と診断された場合には速やかに薬物治療を行います。

●睡眠麻痺(金縛り)
金縛りはノンレム睡眠とレム睡眠の入れ替わり時、とくに眠りについた直後や目覚める直後のレム睡眠時に起こります。レム睡眠には脳は活動していて、そのかわり体を休めるために身体が動かなくなる現象が起こっています。その時に何らかの原因で脳だけが目覚めてしまうと、意識があるのに身体が動かない金縛り状態になってしまいます。幻覚を見るのもそのためです。起こりやすい原因としては、疲れている時、仮眠、夏の暑い時、大きな音がする中で眠っている時、明るい中で眠っている時など様々です。

【特定の疾患に伴う睡眠障害】

●精神障害に関連する睡眠障害
各種の精神障害の症状として不眠が見られることは良くあることです。特にうつ病の場合は入眠困難、中間覚醒、早朝覚醒などの不眠症状が見られることがしばしばあります。 季節性うつ病などでは過眠や過食を伴うことがあります。躁病患者は夜間の睡眠時間が非常に短縮しても活動を続けますが、自覚的には不眠の苦痛を感じません。精神分裂病で意欲が低下し周囲に対する興味・関心が乏しくなると睡眠相後退症候群を呈することがよくあります。緊張性興奮状態では不安・幻覚・妄想等のため著しい不眠を来しがちです。

●身体的疾患に関連する睡眠障害
アルツハイマー型痴呆、脳血管性痴呆、パルキンソン病など脳の器質性障害に伴って不眠や睡眠時無呼吸、過眠が見られることがあります。

●アルコールや薬物に関連する睡眠障害
抗痙攣薬、抗不安薬、抗精神病薬の過量投与により日中の眠気が増強されることがあります。またその中断により反跳性不眠が見られることがあります。精神賦活剤の過量服用により不眠が起こることもあります。アルコール乱用とその中断により著しい不眠を伴うせん妄状態がみられることがあります。このほかにも抗パーキンソン病薬、抗がん剤、ホルモン剤など一般に用いられている薬剤によっても睡眠障害が引き起こされることがあります。


睡眠障害の原因

睡眠障害の多くは、不規則な生活や、カフェイン・刺激物の摂りすぎ、運動不足や昼間身体を動かさなかったり、ストレスといった精神的要因などから、一時的に発症しているものです。これらは原因となっているものを改善すればすぐに解消するもので、本当の睡眠障害(多くは不眠症)とはいえません。が、医学的に危険なものに睡眠時無呼吸症候群などもあり、また過眠症を誘発して事故などを招く危険も少なくありません。
睡眠障害のうち、特定の疾患に伴う睡眠障害については、原因ははっきりしています。うつ病や脳の疾患から生じる場合が多いのですが、それ以外でも病院の検査でわかります。

睡眠時無呼吸症候群や深刻な心の病などの可能性もあるので睡眠障害を軽くみるのは危険ですが、まずは生活を改善して様子をみることをお勧めします。また、不眠症に悩んでいる人の多くは、「眠れないこと」よりも、「眠れないことを悩むこと」が問題のようであり、「2~3日眠らなくても死んだりしない」と思うことも時には必要かもしれません。

(個々の疾患の原因については「睡眠障害の種類」を参照してください。)


睡眠障害の治療法

睡眠障害の治療は原疾患の治療に準じます。原発不眠症の治療には、薬物治療と睡眠薬を使わない治療の2つがあります。

【睡眠薬を使わない治療】
●生活改善
睡眠環境を整える、食事や嗜好品についての習慣を改める、適度な運動をする、肥満を治すなど、まず生活改善を行います。

●リラックス療法
よい眠りを得るためには、心身のリラックスが欠かせません、そこで就寝前に腹式呼吸や自立訓練法、半身浴などで、リラックスに努めます。

●精神療法
うつ病が不眠症を合併することは知られていますが、精神疾患とまでいかなくても、いろいろなストレスや悩みが原因で不眠になっている場合、簡単な精神療法を取り入れると効果的です。

●高照度光療法
主に睡眠時間帯が社会生活にとって望ましい時間帯とずれてしまっている場合にもちいられる治療法です。2500~3000ルクスの高照度光を照射することにより、睡眠や体温といった生体リズムを人為的にずらすことで効果を得る方法です。

【薬物治療】
●睡眠導入剤(睡眠薬)について
まず、「睡眠導入剤」と「睡眠薬」は同じで、「睡眠導入剤が安全で睡眠薬が危険」ということはありません。不眠状態や睡眠が必要な状態に用いられる薬物の総称で、睡眠時の緊張や不安を取り除き、寝付きを良くする作用をするものが多いです。
現在では、依存傾向が強く、耐性が付きやすいバルビツール系薬剤に代わり、比較的安全なベンゾジアゼピン系の薬剤が多く用いられています。副作用としては、依存性の他に、一過性の健忘、覚醒後の眠気やだるさ、ふらつきなどがみられることもあります。ベンゾジアゼピン系の睡眠薬は抗不安薬として使われるケースも多く、逆に抗不安薬(マイナートランキライザー)や抗精神病薬(メジャートランキライザー)を睡眠導入剤として利用するケースもあります。注意点としては、服用後に自動車の運転をしないことと、(効果が増幅されるため)アルコールと一緒に服用しないことです。

睡眠導入剤(睡眠薬)を飲むことに対して漠然とした不安や罪悪感を持っている場合が多いかもしれませんが、現在使用されている睡眠導入剤は安全性が高く、若干の依存性は認められているものの医師の指示にしたがって使用すれば長期間の服用も問題なく、危険性は非常に少ないといえます。 睡眠導入剤は、指示に従ってきちんと服用することで睡眠のリズムを整えられ、症状が改善すれば徐々に飲む量を減らしていくことで中止することも可能です。(ただし自分勝手に中止するのは危険です。) 薬を飲まずに夜中にいらいらや嫌な気持ちになるよりは、飲んでよく寝てすっきりした方が良いと思います。

このように、不眠の治療には催眠薬がよく使われますが、それだけが治療法ではありません。なかには、特殊な治療法が行われる睡眠障害もありますので、長期に及ぶ辛い不眠症や重度の睡眠障害、睡眠時無呼吸症候群を自覚される場合などは、早めに専門医を受診するようお勧めします。