パーキンソン病のいろは

病気のいろは
頭の病気 - 脳
頭の病気 - 目
頭の病気 - 鼻
頭の病気 - 口
頭の病気 - 耳
頭の病気 - 他
全身の病気
内臓の病気 - 肺
内臓の病気 - 心臓
内臓の病気 - 胃
内臓の病気 - 肝臓
内臓の病気 - 腸
内臓の病気 - 腎臓
内臓の病気 - 他
骨の病気
関節の病気
血液の病気
皮膚の病気
心の病気
女性の病気
性関連の病気
その他の病気
深呼吸ダイエット
パーキンソン病とは パーキンソン病の症状 パーキンソン病の合併症
パーキンソン病の原因 パーキンソン病の治療法 パーキンソン病の診断

 パーキンソン病の方に役立つ無料小冊子

パーキンソン病とは

パーキンソン病は、脳が出す運動の指令がうまく伝わらず、スムーズに動けなくなる病気で、ふるえ、動作緩慢、小刻み歩行を主な症状とする病気です。1918年に初めて報告した、ジェームズ・パーキンソン医師にちなんでつけられた病名です。
我が国の患者数は人口10万人につき80~100人くらいで、決して珍しい病気ではありません。発病するのは50~60歳代が多いのですが、20歳代~80歳近くまで幅広い年齢で発症します。男女差はありません。この病気について、「発症10年後くらいには人形のように動けなくなる」といったイメージを持っている方もいますが、現在では様々な薬があり、症状もかなり改善が期待できます。また厚生省の「特定疾患」に指定されており、ヤールの重症度分類III(3)度以上になると治療費の補助も受けられますので、無用な不安を抱かず、積極的な生活を送りましょう。

尚、「パーキンソン症候群」は、脳梗塞などの病気や、ある種の薬(抗不安薬、降圧薬、胃薬、その他)などでパーキンソン病と同じ様な症状を示すことがありますが、原因も治療法も違うため、パーキンソン病と区別して「パーキンソン症候群」と呼ばれています。


パーキンソン病の症状

「震戦(ふるえ)」「動作の緩慢」「筋肉の固縮」および「姿勢保持障害」の4大症状とこの他、立ちくらみ、排尿障害、便秘等の自律神経の障害や気分が落ち込むうつ症状等がある。症状の種類、程度は人によって差があり、またこれらの症状が総て現れてくるものではなく、一人一人違います。

最初の症状は、手が震えるか、足が出にくくなるか、手先の細かい動作がぎこちなくなることです。最初は一方の手か足に出て、段々と反対側にも広がって行きます。中等症になると、姿勢が前かがみとなり歩行は小刻みになります。

【 手足の震え(静止時振戦)】

パーキンソン病は手足の震えで始まる事が多く、安静にしている時に自然に起こるのが特徴で、震えに注意したり、動作をしたりすると止まります。必ず片方の手足から始まって反対側に広がります。 大体一秒間に4~6回くらいの、比較的ゆっくりしたもので、特に、安静時振戦と言われるように、じっとしている時に起きて、何かをしようとすると消えてしまうようなものが最も典型的なものです。指先で小さな玉を丸めるような動作(または紙幣を数えるような動作)で「丸薬丸め運動」などと呼ばれます。震えは唇や下顎に起こる事もあります。

【動きが鈍い(無動)】

何かをやろうとしても、動き出すまでに時間がかかり動作全体も遅くなります。車のエンジンをかけて運転するのに似ています。キーを入れないと走り出しませんし、クラッチがうまくつながらないとガクガクしてしまいます。ブレーキをうまく使わないと、坂道で走り出したまま止まらなくなってしまいます。
これと同様に、最初の一歩が踏み出せなくてじっとしていたり(すくみ足、寡動症)、歩き出すとトットットッと止まらなくなったり(突進現象)します。また、筋肉が固くなってうまく手足を使えない(筋固縮)状態になります。
これらは、大体身体の片側から始まって経過とともに両方に障害が及びます。 また、表情が乏しくなりまばたきが少なくなります(仮面様顔貌)。

【筋肉のこわばり(筋固縮)】

筋肉が硬くなるため、関節を伸ばそうとすると、カクンカクンという筋肉の抵抗を感じます。これは歯車が噛み合って回転する時の感じに似ている事から「歯車現象」と呼ばれています。

【姿勢を保つことの障害(姿勢保持障害)】

立っている時は、前かがみでひじと膝を軽く曲げた姿勢になり、体をまっすぐに伸ばそうとすると後ろへ倒れやすくなります。歩行は小刻みで次第に前のめりで早足となります。急に止まったり方向を変えることができず、前方に突進してしまいます(突進現象)。立っている時に、前方や後方からちょっと押されると立ち直ることができず、簡単に押された方向に倒れたり足を踏み出します。

【その他の症状】

便秘や立ちくらみを起こしやすくなります。トイレが近くなります。気分が憂鬱になります。病気が進行すると、無関心、注意力の低下などが現れます。

(自律神経症状)
脂顔(顔が脂ぎる)
唾液分泌亢進(よだれ)
嚥下障害(食べ物の飲み込みが悪くなる)
発汗異常(異常に汗をかいたりかかなかったりする)
膀胱障害(尿が出にくくなったり漏れたりする)
便秘
起立性低血圧(立ちくらみ)
インポテンツ 突進運動(押されると自分で止まれず小走りになる)
精神症状(うつ、自発性低下、神経質、不安焦燥・・・7割近くに見られます)
言語障害(小声でぼそぼそ話す。聞き取りにくい)
書字障害(だんだん字が小さくなる)

●Yhar(ヤール)の重症度分類

・パーキンソン病の症状の評価の基本になるものです。
・公費医療の対象として「特定疾患」に認定されるには、YharⅢ以上の状態であることが条件になっています。

Ⅰ 片側の手足等の障害。運動機能障害は軽度か無し。
Ⅱ 両側の手足等の障害。平衡障害無し、姿勢障害有り。
Ⅲ 中等症。立ち直り反射障害あり、日常生活での活動制限有り。
Ⅳ 重症。辛うじて歩行立位可能、日常生活での機能障害著明で介助も必要。
Ⅴ 起立・歩行不能。臥床または車椅子生活。

●パーキンソン症候群

パーキンソン症候群は、パーキンソン病の症状のほとんど、あるいは全部が現れる障害です。パーキンソン症候群は、さまざまな状態が原因で起こります。インフルエンザ様の感染後に起こるウイルス脳炎の合併症の場合もあります。パーキンソン症候群は、その他の変性疾患や薬、またはドパミンなどの神経伝達物質の作用を阻害したり遮断する毒物によっても起こります。たとえば、パラノイアや統合失調症の治療に使用される抗精神病薬は、ドパミンの作用を遮断します。MPTPという物質(違法薬物使用者がオピオイドのメペリジンを合成しようとして偶然にできた化合物)を使用すると、若い人でも回復不能な重度のパーキンソン症候群が急激に起こります。その他の原因には、脳腫瘍や脳卒中などの脳の構造的障害や頭部外傷、特にボクシングで繰り返し受ける外傷などがあります。

皮質基底核変性症は、まれなパーキンソン症候群の原因です。この病気は基底核と大脳皮質の脳組織が変性した結果です。皮質に異常が起こることでパーキンソン症候群の他のタイプと区別されます。この皮質の病変は、会話や文字による表現や理解ができない(失語症)、単純な作業を遂行できない(失行症)、ものの役割や機能が認識できない(失認症)などの障害を引き起こします。症状は60歳を過ぎてから現れ、発症の約5年後には動けなくなり10年後には死亡します。


パーキンソン病の合併症

自律神経症状(便秘、起立性低血圧)やうつ症状、痴呆を合併する場合が多い。

【手術と合併症】

1.麻酔,薬剤などによるショックや輸血に伴う感染の危険性
2.手術手技による危険性
3.感染
4.手術中,手術後の頭蓋内出血,脳梗塞,脳損傷とそれに起因する神経症状
5.局所麻酔下で行われる比較的軽い侵襲の手術であるため,あまり多くはありませんが,稀に糖尿病,高血圧,肺気腫,胃潰瘍,内分泌疾患,精神疾患など様々なこれまで顕在化していなかった疾患が手術を契機として発症することがあります.また患者さんがこれまで既往疾患として持っておられる病気がより重くなることもあります.
6.まれに手術時間が長くなり同じ体位をとり続けると,手術台などの器具に接触している手足,体部,胸部などに褥創を生じることがあります.
7.手術で頭蓋骨に一部穴を開けるため(穿頭),術後に頭頂部などが変形し,稀に美容上問題を生じることがあります,また手術創部に永く痛みが残ること(術後のハンコン形成のため)もあります.

【その他の合併症】

厳重な術中・術後管理を行い合併症の発生が図られますが、予想外の事態で合併症を生じることがあります。最悪の場合は死亡することもあり、重い神経後遺症を生じる可能性もあります。手術中予期せぬ頭蓋内出血を生じ、出血が止まらないときなどの緊急に対処が必要な場合は予定していた手術よりも手術侵襲が拡大することもあります。


パーキンソン病の原因

原因不明の病気ですが、脳の中の神経伝達物質の一つである「ドーパミン」という物質が、パーキンソン病では早く減少していくということが分かってきました。
中脳には、黒質といわれる黒い色素を含んだ細胞が沢山集まっている部分があります。ここでドーパミンが作られ、ここから線条体の細胞へと送られているのです。しかし、パーキンソン病では、その密接な連絡をとっている連絡網が何らかの原因で損傷されると言われています。他に原因として考えられるのは、脳炎、癌、中毒、薬剤、その他の神経難病などがあります。

また、脳の中の黒質という部分の神経細胞の数が減ることが原因とする説明もあります。この神経細胞は、突起を線条体という部分に送っており、またドーパミンという物質を含んでいるので線条体のドパミンが減少します。これが色々な症状の原因と考えられています。黒質の細胞が何故減るのかはまだよくわかっていませんが、ミトコンドリア呼吸障害や活性酸素の生成増大が関与するのではないかと考えられています。


パーキンソン病の診断

1)病歴聴取および神経学的検査
パーキンソン病の診断には神経科専門医の病歴聴取と理学的・神経学的な検査が最も重要です。特に中風や関節炎やヘルニアなどと誤認される場合があるから留意すべきです。

2)映像検査
パーキンソン病それ自体を診断する目的よりは、パーキンソン病と混同されうるほかの疾患や二次性パーキンソン症の原因を明らかにする目的でよく利用されます。磁気共鳴映像(MRI)や単一光電子放出断層撮影(SPECT)や陽電子放出断層撮影(PET)などがよく用いられます。


パーキンソン病の治療法

高周波治療法

現在世界的に最も利用されている方法は、CTあるいはMRIで、解剖学的座標を設定
した後微細電極を挿入して高周波を使用した電気刺激法です。
これは局所麻酔のもと頭蓋骨に1cm程度の穴を空けて、太さ1-2mm程度の細い電気針を使って手術する方法です。
患者のひとりひとりごとに異なる脳の解剖学的構造を把握することができるから、副作用も少なく、術後その効果もすぐ出ます。 治療には薬物療法と手術療法がありますが、基本は薬物療法です。現在はよく効く薬があるので、適切な治療を行えば症状を改善したり進行をくい止める事ができます。

【薬物療法】

線条体に入ってドーパミンに変わるL-Dopa製剤、ドーパミンの代わりをするドパミンアゴニスト、ドーパミンとアセチルコリンのバランスを直す抗コリン薬、ドーパミンの分泌を促す塩酸アマンタジン、脳の中でノルアドレナリンに変わるドプスがあります。これらを組み合わせて使うのが現在のパーキンソン病の内科的治療法です。投与方法も「少量・多剤投与」「臨床病期に応じた投与」方法が取られるようになって、かなり良い状態で日常生活が送れるようになりました。
しかし、薬で症状を改善することはできますが、脱落、変性した神経細胞を増やし若返らせることはできなく、完治するものではないが不足したものを補っていく治療法のため薬はずっと飲みつづける必要があります。また、薬を長期に使用する際の副作用や薬効低下などまだまだ完全ではありません。

【手術療法】

ひとつは視床の一部を破壊する方法でふるえに効きます。もうひとつは、淡蒼球を破壊する方法で、動作緩慢、歩行障害、L-Dopaの副作用である不随意運動に効きます。最近ではこれらの部分へ小さな電極を入れてペースメーカーのように刺激する方法も開発されてほぼ実用化されています。
しかし、症状により手術に向くタイプ、向かないタイプの人があります。また、胎児の脳や副腎の細胞を移植する手術が試みられていますが、これは本当に限られた実験的なもので、現在のところ望んで出来るものではありません。

【その他の療法】

遺伝子療法、胎生幹細胞等研究の幅は広がっています。また、食事療法や生活療法も重要です。

●治療の基本的な注意点
・L-Dopa(レボドーパ:体内でドパミンに変わる物質)内服。当初は劇的に効きますが、L-Dopaをドパミンに変える神経細胞自体が減少していくため数年で効かなくなること、早期投与が神経細胞減少を加速するという意見があることから、初めから安易には使わなくなってきています。
・少なくとも日常生活に支障ないように症状を改善する程度に、まずL-Dopa以外の薬を使い、順次薬の種類と量を増やします。
・薬物治療だけでなく、リハビリテーションも運動機能の維持に重要です。
・病状により妥当な治療のゴールを設定し、それにより薬をコントロールする必要があります。
・安易な薬の増量は、副作用を招きます。
・治療法の進歩が逆に予後長期化・重症化させ、治療薬増量・長期与薬による副作用も増加しているとの見方もあります。
・褥創(床ずれ)、脱水、誤嚥(飲み込みが悪く肺に飲食物が入ること)による肺炎の予防が重要です。