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髄膜炎とは 髄膜炎の種類 髄膜炎の症状 髄膜炎の合併症
髄膜炎の原因 髄膜炎の予防策 髄膜炎の治療法

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髄膜炎とは

髄膜とは脳や脊髄をおおっている膜のことで、頭蓋骨と脳の間にあり、脳を保護するクッションのような役目をしています。この髄膜に細菌やウイルス、真菌などが感染して急性の炎症を起こすのが「髄膜炎」で、以前は「脳膜炎」と呼ばれていたこともあります。 感染源のほとんどは、風邪やおたふくかぜなどのウイルスで、体の抵抗力が落ちたときに発症します。新生児や乳児に多くみられますが、成人でも起こります。 髄膜炎は、ウイルス感染などの「無菌性髄膜炎」と、細菌などによる「化膿性髄膜炎」があり、無菌性のものを単に髄膜炎、化膿性のものを「脳脊髄膜炎」と呼ぶこともあります。 髄膜炎のほとんどが症状の軽い無菌性髄膜炎ですが、化膿性髄膜炎は致死率30%と危険なものです。


髄膜炎の種類

髄膜炎は、大きく分けてウイルスによる「無菌性髄膜炎」と。細菌などによる「化膿性髄膜炎」に分けることができます。髄液の中に原因の細菌が見つかれば化膿性髄膜炎と診断でき、細菌が見つからないと無菌性髄膜炎と呼んでいますが、無菌性髄膜炎のほとんどがウイルス性の髄膜炎と考えられます。

●無菌性(ウイルス性)髄膜炎
おたふくかぜウイルスによるものと、コクサッキーウイルス、エコーウイルスなど一般に夏カゼを起こすウイルスが原因のことが多いです。おたふくかぜウイルスによるものは、おたふくかぜの経過中におこるため、容易にそれとわかります。おたふくかぜは流行性耳下腺炎とも呼ばれているように、両側または片側の耳の直下が腫れてきます。反復性耳下腺炎や化膿性耳下腺炎と紛らわしいことも稀にありますが、まわりの流行状況や血液中の抗体検査で比較的容易に診断がつきます。
無菌性髄膜炎は可能性髄膜炎に比べ症状も軽く、多くは後遺症もなく治ります。抗生物質が効かないため、症状が穏やかな場合はあえて病院にいく必要がありませんが、新生児では、臨床症状が明らかでないことが多い上に重症になる場合もあり、時に新生児室内で流行がみられることもあります。鼻汁、糞便等の排泄物による手足を介した経口感染、もしくは咳等による飛沫感染によってうつりますので、手洗い、うがいを励行し、流行期には人ごみを避けるように心がけましょう。

●化膿性(細菌性)髄膜炎
ウイルス性髄膜炎に比べて発症の頻度はずっと少なくなります。新生児、特に母親から十分な抗体をもらわないうちに生まれた未熟児では、B群溶連菌、大腸菌が原因の髄膜炎にかかることがあります。乳幼児期にはインフルエンザ菌、肺炎球菌、髄膜炎菌などが原因のことが多く見られます。月齢が低いほど、症状が見つけにくいもので、おむつ替えで足を持ち上げたり、頭を持ち上げたりするとひどくいやがるときや、きげんが悪くて食欲もない、トロトロ眠りがちになる、首の後ろがつっぱるなどの症状がある場合も、早めの受診が必要です。
可能性髄膜炎は細菌の種類にかかわらず、ウイルス性髄膜炎と比べてずっと重篤になり、死亡率も30%と高く、高熱が出てから3日以内に治療を始めないと命にかかわることもあります。また命が助かっても、知的な発達が遅れるなどの障害が残ることもあります。学童期になると化膿性髄膜炎にかかることは極めて稀となります。

●髄膜炎菌性髄膜炎(流行性髄膜炎)
髄膜炎菌性髄膜炎とは、脳と脊髄をとりまく膜が炎症を起こして激痛を伴う流行性の髄膜炎で、化膿性髄膜炎の一種です。飛沫感染や直接接触で大規模に広がり、主にアフリカから中近東で流行しますが、欧米先進国でも発症が見られます(最近の日本では稀)。1974年から75年にかけて南米で猛威を振るい、犠牲者の多くは頸部の硬直・高熱から出血・昏睡状態が始まり、あっと言う間に危篤状態に陥って、発症から1日で死に至ってしまうこともありました。このときはすぐにワクチンを開発して予防接種を始めましたが、それでもすでに髄膜炎菌は25万人を発病させ、11000人以上の生命を奪い、生き残った患者の3分の1は神経を冒されたと報告されています。
中国でも、届けがあるだけでもここ毎年2000人以上が髄膜炎菌性髄膜炎に罹っており、海外への旅行・滞在の際には、外務省などの国別安全情報などに注意する必要があります。


髄膜炎の症状

髄膜炎は、発熱、頭痛、嘔吐が3大症状です。ウイルス性髄膜炎より細菌性髄膜炎のほうが症状が重く後遺症を残すことがあります。
「細菌性髄膜炎」の症状は発熱、激しい頭痛、吐き気や嘔吐、首のうしろがはってかたくなっていたり、首を曲げると痛がようすがみられます。新生児の場合は、発熱、嘔吐といった典型的な症状がなく、機嫌が悪い、おっぱいやミルクの飲みが悪い、元気がない、くぐったりしているという様子がみられ、その後(頭頂部の)大泉門がパンパンに膨らんだりします。また、首にさわると痛がり、首にさわるのを嫌がったり、抱っこすると、激しく泣いたりします。病気が進行すると痙攣を起こしたり、意識がなくなることもあり、発見や治療が遅れると手遅れになり、死亡したり重い後遺症を残すことがあります。
「ウイルス性髄膜炎」は「無菌性髄膜炎」の大半を占め、症状は「細菌性髄膜炎」と同じようなものがみられますが、治療によりほとんどの場合後遺症を残さずになおります。とはいえ中には脳炎を起こすこともあるので、これも注意が必要です。


髄膜炎の合併症

髄膜炎は、特にウイルス性のものは炎症が髄膜の範囲にとどまる限り、後遺症はほとんどないと考えられますが、軽くても脳炎になってしまうと後遺症を残す可能性が出てきます。脳と髄膜は接しているので、脳炎になっているという危険性は常に考えておかなければなりません。ウイルス性髄膜炎の場合でもまれに、学習障害、てんかん、難聴などの後遺症を残す場合がありますが、細菌性の場合はこれらの率がずっと高くなり、20~30%にこうした後遺症発生するとみられています。 また、細菌性髄膜炎を惹き起こす細菌の一部には、敗血症をも惹き起こすものがあります。 敗血症は、特に髄膜炎の中の髄膜炎菌性髄膜炎と関連があります。体力が低下するなど何らかの場合には、細菌は血液の中で抑止できないほど急激に増殖し、細菌が脳脊髄膜を侵す前に敗血症を惹き起こします。あるいは敗血症と髄膜炎が同時に起こることがあります。 髄膜炎菌性髄膜炎にかかると、皮下に発疹が現れますが、小さな血の斑点のようなものが大きくなって皮下出血のように見えてきたら、注意が必要です。


髄膜炎の原因

髄膜炎は、ウイルス、細菌、真菌などが髄膜に感染して起こりますが、年齢によっておおまかな病原が区分できます。
新生児の細菌性髄膜炎はお産の時に感染することが多く、B型連鎖球菌、大腸菌、リステリアなどの感染が多くみられます。乳児期から幼児期にはインフルエンザ菌や肺炎球菌などが、鼻、のど、気管の粘膜などに感染して、まずカゼ症状を起こし、体力が弱っていたり、特殊な体質があるとそれらが血液の中に入り、やがて頭の中の髄膜に達します。中耳炎や副鼻腔炎など脳に近いところの炎症から、直接頭の中に入っていくこともあると考えられています。髄膜炎菌による髄膜炎菌性髄膜炎は、伝染病なので年齢にかかわらず起こります。青年から成人までは肺炎球菌、髄膜炎菌、インフルエンザ菌などが原因となります。高齢者での髄膜炎は肺炎球菌、リステリア、グラム陰性桿菌などが感染を引き起こします。


髄膜炎の予防策

ワクチンの効かないウイルス性髄膜炎の予防には、手を洗い、うがいをし、なるべく人ごみを避けるといった日常のケアと、免疫力を低下させないことです。 細菌性髄膜炎の予防は、ワクチンがすべてです。インフルエンザ菌による髄膜炎予防には、B型インフルエンザワクチンが用いられ、生後2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月目には定期的に投与されます。髄膜炎菌性髄膜炎は伝染病なので、感染の疑いがある場合は、直ちに隔離されます。地域に広がることが無いように、患者と接する人は予防接種をうけなくてはなりません。なお、髄膜炎菌性髄膜炎はアフリカ、中近東などを中心に、各地で伝播を見せるので、当該国への海外旅行や海外滞在の場合は、充分調査する必要があります。


髄膜炎の治療法

細菌性髄膜炎の場合は、なるべく早く大量の抗生物質を投与します。特に肺血症の可能性がある場合は、できるだけ早くペニシリン系とセフェム系の薬剤を併用して治療する必要があります。 髄膜炎の原因である病原体の種類がはっきりしたら、適切な抗生物質を投与します。広域セファロスポリン系薬は耐性菌の増加が懸念されつつありますが、「メロペネム」は成人のそうした細菌性髄膜炎の治療に対し有効で、副作用も少なく、良好な忍容性を有することが認められています。 治療には普通、10日~2週間程かかります。投与の方法としては、静脈への注射が最も有効で、1回の注射を早くするか、しないかで、生命を左右することもあり得ます。細菌性髄膜炎の死亡率は7~30パーセントで、特に成人の死亡率が高いのですが、感染の種類によっても異なります。 ウィルス性髄膜炎の場合は、抗生物質が効きませんが、安静を保ち、状況により鎮痛剤の投与をうけるだけで、時間とともによくなります。