低血圧のいろは

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低血圧とは 低血圧の種類 低血圧の症状 低血圧の原因
低血圧の治療法

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低血圧とは

低血圧とは、めまいや失神などの症状が出現するほど、血圧が低い状態です。厚生労働省による低血圧の基準は、安静にして血圧を測ったときの最大(収縮期)血圧が90mmHg以下の場合で、高血圧と違って最小(拡張期)血圧についてはあまり重点が置かれていません。 (一般には60mmHg以下といわれています。)
ひとの身体は動脈内の血圧を狭い一定の範囲内に維持していますが、血圧が高くなりすぎると、血管が損傷し、ときには破裂して出血や他の合併症を引き起こします。逆に血圧が低くなりすぎると、全身に十分な血液が供給されなくなり、結果的に細胞は十分な酸素や栄養素を受け取れず、老廃物もうまく除去できなくなります。それでも、安静時血圧が低いながらも正常範囲内にとどまる健康な人は、正常範囲内で高めの血圧の人よりも長生きする傾向があります。
なお、低血圧とは、血液循環が円滑に行われず、脳や体の末端への血流が悪くなった結果、酸素不足によりめまいや立ちくらみを起こすもので、血液中の赤血球またはヘモグロビンが正常値以下に減少した状態の「貧血」とは本質的に違います。


低血圧の種類

低血圧には、「本態性低血圧」「起立性低血圧」「二次性低血圧」の3種類があります。

●「本態性低血圧」
原因が明らかでない慢性低血圧で、普通は特に顕著な症状がなく、血圧だけが常に低い状態にあるいわゆる「低血圧体質」です。産まれつきのもので、遺伝性の素因があると考えられています。何らかの症状があるとすれば、めまい、立ちくらみ、頭痛、頭重感、耳鳴り、肩こり、不眠、倦怠感、疲れやすい、寝起きが悪い、動悸、便秘、食欲不振、下痢、胃もたれ、胸やけなど、さまざまな不定愁訴があげられます。

●「起立性低血圧」
横になった状態から急に立ち上がったり長時間立ち続けているときに、20mmHg以上の収縮期血圧低下がおこるのを「起立性低血圧」といいます。普段は特に血圧が低くない場合でも、起き上がったときに急に血圧が下がって立ちくらみやめまいなどを起こします。また、暑さに弱く下痢をしやすいといった特徴があります。体位性低血圧ともいいます。
血圧を調節する自律神経、特に交感神経の働きがうまくいかなくなるために起こると考えられます。

●「二次性低血圧」
低血圧を招く何らかの病気があって低血圧の状態になっているものです。血圧が低くなる病気は、循環器や内分泌の病気などさまざまですが、急激に低血圧になるものと、慢性的に低血圧が続くものがあります。急激に低血圧になる疾患には、心筋梗塞、うっ血性心不全。急性出血、やけど、激しい下痢・嘔吐、腸閉塞、急性中毒などがあります。
慢性低血圧を招くものには、がん、貧血、白血病、肺結核などの伝染病、甲状腺機能低下、肝硬変などがあります。


低血圧の症状

低血圧の症状は、めまい、立ちくらみ、耳鳴り、脱力感、不眠、頭痛、肩こり、疲れ目、寝起きの不良、食欲不振、胃のもたれ、上腹部膨満感、悪心、嘔吐、吐き気、下痢。便秘、腹痛、発汗・冷え、動悸・不整脈・息切れ、四肢の冷感、胸部圧迫感などです。
血圧がきわめて低くなったまま元に戻らないと、すべての臓器が機能不全になります。中でも一番高い位置にある脳が、最初に機能不全に陥ります。この状態をショックといい、脳への血流が回復されないと脳の損傷を招きます。また、心筋に血液が十分に供給されないと、狭心症なども発生します。


低血圧の原因

低血圧には、「本態性低血圧」「起立性低血圧」「二次性低血圧」の3種類がありますが、いずれも脳への血流が不足して酸素が充分に届けられず、立ちくらみやめまいなどがおきます。
「本態性低血圧」は原因不明の低血圧体質であり、「起立性低血圧」は血圧を調節する自律神経、特に交感神経の働きがうまくいかなくなるために起こると考えられます。自律神経障害には、シャイ・ドレーガー症候群やパーキンソン病、アミロイドーシスなどの神経が変性する疾患により、血圧調節を司る神経が障害され重症の起立性低血圧が生じますが、こうした二次性起立性低血圧症の原因の50%以上を占めるのが糖尿病です。精神的ショック、暑いところでの長時間の起立、空腹などでも起立性低血圧になります。
内分泌性疾患ではアジソン病、低アルドステロン症、褐色細胞腫など、血管性疾患では静脈瘤、静脈弁欠損症、動静脈奇形、カルチノイド症候群などが、二次性低血圧の原因になります。また、肺性心、大動脈弁狭窄症、心筋梗塞、特発性心筋症などは心拍出量を減少させるほか、下痢、利尿薬(フロセミド、ヒドロクロロチアジドなど)、多量の出血、多量の汗、多量の尿によっても低血圧を招きます。そのほか、白血病を含むがん、肝硬変、肺結核などの伝染病なども低血圧の原因になります。


低血圧の治療法

低血圧の治療は、「非薬物療法」と「薬物療法」に分けられますが、どの治療を選択するかは症例ごとに異なります。症状は薬で一時的に改善することができますが、食事や運動、ゆとりのある規則正しい生活で根本的な原因を治さないといけません。二次性低血圧の場合には、まず第一に原因疾患の治療をします。

●非薬物療法
1.生活習慣の改善
過労やストレスを避け、十分な睡眠をとり、規則正しい生活を行うようにします。朝、布団から出るのがつらい低血圧。布団の中で少し体を動かして、血のめぐりをよくしましょう。適度な運動を続けることで血のめぐりがよくなるので、散歩やストレッチなど、ラクに続けられる運動に取り組んでください。
体位変換時に症状が出現する場合は、急激な動作を避け、ゆっくりと行動するよう注意します。人混みや、猛暑の時に症状が出現、増悪する人も多く、なるべくそうした状態を避けるようにします。

2.食事療法
水分摂取量を多くし、特に合併症等の問題がなければ食塩も多目に摂取してもかまいません。その他に、たんぱく質、ミネラル、ビタミン類の豊富な食事をとるようにします。

3.その他
特に高齢の起立性低血圧患者は、めまいや失神発作を予防するため、睡眠時に頭部や上半身をやや高くしたり、弾力ストッキング、弾性腹帯、レオタード等を着用して下半身への血液貯留を防止します。

●薬物療法
低血圧の薬物療法には、精神安定薬、自律神経調整薬、昇圧薬等が用いられます。
日本で使用されている昇圧薬には、ジヒドロエルゴタミン(ジヒデルゴット)、エチレフリン(エホチール)、ミドドリン(メトリジン)、アメジニウム(リズミック)などがあります。また難治性低血圧ではミネラルコルチコイド剤である酢酸フルドロコルチゾン(フロリネフ)が有効な場合があります。