インフルエンザ脳症のいろは

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インフルエンザ脳症とは インフルエンザ脳症の種類 インフルエンザ脳症の症状 インフルエンザ脳症の合併症
インフルエンザ脳症の原因 インフルエンザ脳症の予防策 インフルエンザ脳症の治療法

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インフルエンザ脳症とは

インフルエンザ脳症は、インフルエンザウイルス感染による神経合併症の1つだといわれています。4歳までの幼児に特に多く、6時間から1日以内に急な高熱から意識障害、全身の痙攣が起き、症状の進行はきわめて急速です。

インフルエンザ脳症には、急性壊死性脳症、ライ症候群、HSE症候群などの種類がありますが、いずれも発病のメカニズムはよくわかっていません。死亡率が15~30%と高く、また救命されても脳性まひなどの後遺症が残りやすい病気です。目下の治療法は、対症療法が中心となります。

インフルエンザ脳症

●風邪を見直す!
風邪という病気は薬なしの方が早く治ります。熱はなぜ出るのでしょうか。「熱が出るのは風邪ウィルスが体の中で暴れるからだ」。しかしこれは間違った常識です。熱が出るのは、体が熱を出すからです。人間の体には病原菌と戦う「免疫」というものがあって、この機能がウィルスをなくすために活動すれば、体は熱を出すようになっています。熱が上がればウィルスは活動をとめます。
40度の高熱が続くと風邪ウィルスは増殖できず、免疫によって段々減っていきます。そして一日経つとけろっとします。免疫の勝利です。しかし一般的に使用される風邪薬、つまり解熱剤や消炎剤を使って無理に熱を下げるとどうなるでしょうか。人体がせっかくウィルスを駆逐するために熱を出しているというのに、その熱を無理に下げてしまえば、弱くなりかけたウィルスが元気を取り戻し、その数をまた増やし始めます。それだけでなく、本当に生命に危険な病を引き起こすことさえあるのです。

薬で熱を下げると風邪はかえって長引きます。反対にゆっくり休んで、安静すれば、すぐに治ります。さらに免疫が強化され、風邪を引きにくい体になるという効果まであります。人間の体は不思議にできています。人間の体は意外と強いのです。インフルエンザを含め、いわば風邪には、薬、解熱剤、消炎剤、抗生物質などは全く必要ありません。

インフルエンザ脳症に苦しむ人たちがいます。このインフルエンザ脳症の原因のひとつとされているのが、風邪を治そうと医師が処方した薬の服用です。ところで、驚くべきことに、インフルエンザ脳症という病気は日本と韓国にしかないそうです。インフルエンザ脳症は一種の虚像で、欧米ではこれを「ライ症候群」と呼びます。ライ症候群はインフルエンザ・ウィルスによって発生する病気ではありません。

インフルエンザ脳症という病気は細菌が脳に浸透するから脳症と呼ぶのだと誤解する人がかなりいます。インフルエンザ脳症によって死亡した患者の脳を検査してみてもウィルスによる炎症性病巣の痕跡は発見されませんでした。原因は他にあります。それはインフルエンザの治療薬として服用する解熱剤です。この病気は薬害だというのが有力です。

インフルエンザ脳症が発病するケースが日本と韓国で多い理由は何でしょうか。それはおそらく一度に何種類もの薬を医師が処方する「多剤投与」が日本と韓国で習慣化されているからです。風邪を引いて病院にいくと、5,6種類の、抗生物質だの、解熱剤だの、気管支薬だの、あまつさえ薬によって胃を痛めるというので消化剤まで処方してくれます。このように大量の薬を一度に処方する国は非常に稀です。医師たちは医学部で風邪の治療法をまともに勉強しないからです。したがって、各症状ごとにいちいち処方するのです。薬を処方するのは、医師や製薬会社にとって得だし、なぜか患者も喜びます。しかし服用する薬が多いと、副作用の発生率も高まります。

「風邪で40度の熱が出たら死ぬのではないか?」と考えるあなた、違います。人間は病気を治療するために熱を出すのです。41度までの熱だったら、高熱それ自体によって死ぬこともなければ、脳症も起こりません。苦しかったら、額や脇に氷袋を当てて冷ませば多少楽になります。欧米では冷水浴をさせたりもします。せめてぬるま湯でも熱を冷ます効果はあります。

むやみに薬に依存してはなりません。副作用のない薬など存在しません。どうしても解熱剤を使いたいなら、色々な薬を飲んだりせず、最も安全性が高いとされているアセトアミノフェンだけを少量使いましょう。


インフルエンザ脳症の種類

インフルエンザ脳症には、急性壊死性脳症、ライ症候群、HSE症候群などの種類があります。

●急性壊死性脳症
脳内深部の小血管の血管透過性が亢進し、血管周囲へ赤血球や血漿が漏出し、血管周囲の脳組織が浮腫に陥り、二次的に神経細胞やグリア細胞が壊死に陥る脳症です。

「脳幹型」は興奮症状や短い痙攣の後に意識障害をきたし、数時間で呼吸停止にいたる劇症型で、脳幹や視床の低吸収と腫大が特徴です。

「病変限局型」は、両側の視床、大脳白質、小脳、脳幹に対称的に境界明瞭な病変を生じるものです。 急性壊死性脳症は、脳の外にも、肝臓、腎臓などの臓器が障害されることがあります。

●ライ症候群
ライ症候群は、B型インフルエンザなどによる上気道炎や水痘で発熱して回復した後に、長時間嘔吐し続け、急激に昏睡などの意識障害や痙攣を来たし、最悪の場合は死亡することがあります。

血液検査では、肝臓や筋肉由来の酵素が上昇し、高アンモニア血症や低プロトロンビン血症も見られます。また、ミトコンドリア障害により、TCA回路、糖新生、尿素回路などの代謝機能が障害を受けます。

インフルエンザ脳症の中でもとくにライ症候群は、その発症に一部の解熱剤との関わりを指摘されており、解熱剤の使用には充分な注意が必要です。

●HSE症候群
HSES(HSE症候群)は出血性ショック脳症症候群といい、発熱、ショック、意識障害、痙攣、出血、下痢などの症状が現われます。HSE症候群は乳幼児に多く見られ、急性脳症とDIC(播種性血管内凝固症候群)のほかに肝機能や腎機能も障害されます。


インフルエンザ脳症の症状

インフルエンザ脳症は、インフルエンザに感染して高熱がでているときに、突然の痙攣や、昏睡などの意識障害、異常に暴れたり意味不明のことを言うなどの異常行動が主な症状です。

発症は大変急激であり、80%は発熱から数時間から1日以内に神経症状がみられます。

痙攣は患者の8割に共通してみられ、発作の長さや回数はさまざまです。

異常行動も多岐にわたり、わけもなく悲鳴を上げて怯えたり、猫などの動物の幻視幻覚を訴えたり、また自分の手をハムなどの食べ物と勘違いして食べようとしたりすることもあります。

インフルエンザ脳症は、こうした症状が発現してから短期間に全身症状が悪化し、死にいたることもあります。厚生労働省の調査では、患者のうち約3分の1が死亡、約3分の1に後遺症が残るといわれています。(最近は死亡率が15%くらいに低下したようですが、いずれにせよ怖い病気には変わりありません。)


インフルエンザ脳症の合併症

インフルエンザ脳症はインフルエンザの合併症のひとつですが、インフルエンザ脳症そのものによる合併症としては、「てんかん」が挙げられます。

てんかんは、インフルエンザ脳症の他にもさまざまな原因により起こる慢性の脳の病気で、大脳の神経細胞の過剰な活動に由来する痙攣などの「てんかん発作」を繰り返します。

脳症後に発症するてんかんは、急性期に引き続いて起こる場合と、半年程経過して起こる場合があり、2年以上経過した後に発症することもあります。


インフルエンザ脳症の原因

インフルエンザ脳症の発症の原因はよくわかっていませんが、インフルエンザウイルスが、ウイルス血症を介して、直接中枢神経系に侵入して脳症を起こすのではなく、ウイルス血症を介して中枢神経の血管内皮細胞に感染し、TNF-αなどのサイトカインが異常に強く産生されて、脳血管を障害し脳症になるのではと考えられています。

また、インフルエンザ脳症は解熱剤などの薬害が原因で発症する可能性があるという報告もあります。 風邪を引いた子供が解熱剤や抗生物質、鼻水止めなど数種類の薬を飲んだ後に、脳症で死亡した例が複数あることが指摘されており、インフルエンザではない普通の風邪でも、多くの医師が強力な解熱剤を処方したり複数の薬を出したりすることで、身体の免疫物質の働きが過剰になり、脳症を引き起こしているという可能性があります。

また、当時の厚生省研究班が1999年に「一部の解熱剤と、脳症による死亡に関連がある」と報告し、さらに厚生労働省は2003年に、インフルエンザ脳炎・脳症を悪化させる恐れがある解熱鎮痛剤を『インフルエンザが疑われる子どもには使用しない』よう注意を呼びかける通知を出しています。

対象となる薬剤は、

○サリチル酸系製剤
○ジクロフェナクナトリウムを含む製剤
○メフェナム酸製剤

これらの製剤は、現在15歳未満のインフルエンザ患者には使用が原則禁止になっています。

なお、発疹や腹痛、下痢、過度の体温下降によるショックなどの副作用はあるものの、比較的安全に子どもにも使用できる解熱鎮痛剤は、アセトアミノフェンだといわれています。


インフルエンザ脳症の予防策

インフルエンザ脳症への予防策としては、とにかくインフルエンザに罹らないための対策が必要です。具体的には生活面での注意の他にワクチンが考えられますが、小児への有効性は明らかになっていません。

また、インフルエンザに罹った子供が、アスピリン系の解熱剤を使用してライ症候群などを合併することがあり、安易な解熱剤の使用はすべきではありません。

子供の発熱の場合、39度までは、解熱剤を用いずに身体を冷やすことで対処すること。それ以上の発熱の際には、比較的安全なアセトアミノフェンを使用することをお勧めします。

なお、乳幼児には氷枕や額に冷却剤を添付する方法は効果がなく、大きな血管がある脇や股、あるいは面積が広い背中の三カ所をクーリングするのが有効です。

インフルエンザ脳症の前駆症状は、その9割が痙攣を伴うものです。早期に痙攣を止めることなどの処置は重要とされていますので、子供が熱を出し、いつもと違うと感じる前駆症状が見られたら、すぐに専門医を受診することが大切です。


インフルエンザ脳症の治療法

インフルエンザ脳症には有効な特効薬がありませんが、インフルエンザウイルスに対する原因療法とサイトカインの異常産生と神経細胞のアポトーシスを抑制するような治療を組み合わせて行うのが良いとされています。

「タミフル」という抗インフルエンザウイルス薬は、脳症への治療効果は報告されていないものの、通常のインフルエンザによる発熱期間を短くする効果があります。

また、全身の細胞から通常量をはるかに超える炎症性サイトカインが放出され、体内を嵐のように吹き荒れる「サイトカイン・ストーム」が、インフルエンザ脳症の発症に大きく関与していることから、「シクロスポリン療法」が効果を上げているという報告もあります。(ここ最近、この治療法により死亡率が30%から15%に下がったのではと期待する報告もありますが、最終的な評価は定まっていません。)

その他、一般的な痙攣や脳浮腫に対する対症治療として、抗痙攣薬、グリセリン、呼吸管理を含めた全身管理を行うことも必要です。

なお、発熱は40度を超えなければ一般的には身体への害はないといわれており、安易な解熱はすべきではありません。

また、一部の解熱剤がインフルエンザ脳症の引き金になっていると考えられることから、特にアスピリン系の解熱剤は小児インフルエンザには禁忌となっています。