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引きこもりとは

「引きこもり」とは、厚生労働省/国立精神・神経センター精神保健研究所社会復帰部によると、「さまざまな要因によって社会的な参加の場面がせばまり、就労や就学などの自宅以外での生活の場が長期にわたって失われている状態」と定義されています。
また、「とくに精神的な障害がきっかけではなく,自宅や自室に6か月以上の長期間ひきこもって社会参加できないでいる中学卒業段階以降の青年の状態であり、現役の小・中学生の不登校は含まない」としている定義もあります。
英語では、"Social Withdrawal"といい(狭義ではすでに"Hikikomori"という外来語になっています)、慢性的な抑うつ状態にある心因的疾患の一つであると位置づけています。

「引きこもり」は、単一の疾患や障害の概念ではなく、心理的社会的要因の他にも生物学的要因が強く関与している場合があったり、明確な疾患や障害の存在が考えられない場合もあり、その実態は百人百様、きわめて多彩であるといえます。
「ひきこもり」における共通点は、症状の長期化(平均3年半くらい)、不登校が最初のきっかけになることが多い、圧倒的に男性(しかも長男)に多い、一般的な中流家庭で起こる、などです。特に村社会、集団帰属意識の強い日本人の場合は、いじめや差別、周りからの無視など、対人恐怖が引き金になることが多いようです。

「引きこもり」の典型的な状態は、ひどく億劫だったり目にしたくない現実や不快な人達、場所、集団を見ないで済ませるために、部屋に閉じこもって外部に出て行かないというものです。ただし、全く部屋の外に出られないというわけではなく、食事やトイレなどのためには出ることもあり、買い物のために外出するケースもあります。概して昼夜が逆転している場合も多く、うつ病に似た症状を呈することもあります。 引きこもりは、必ずしも学齢期にある者が起こすとは限らず、一度は自立した社会人にも起こります。また、学齢期に引きこもりを起こし、立ち直るきっかけを見出せないまま中年期に達することもあります。


引きこもりの症状

「引きこもり」は複数の症状で構成される「症候群」です。部屋に引きこもって出てこないだけではなく、必ず複数の症状が伴います。病的な引きこもりの多くには、PTSD(心的外傷後ストレス障害)と解離性障害の症状が見られます。その病態は百人百様といえますが、対人緊張、対人不信、対人恐怖などについてはほぼ共通してみられる症状です。
その他の具体的な症状は以下の通りです。
・集中力が低下して、無気力となり、どうしても頑張れない
・過去の事件に囚われ、前向きに生きることができない
・身体が緊張し(首、肩のこり、体の痛み、手の汗など)、思うように動かない
・自立神経下のさまざまな疾患、臓器の不調
・他人との絆が切れている、人の和に入れない、孤立感、
・すぐに他人とトラブルを起こす
・過去の辛いことを連想させる人や事柄を避ける
・睡眠障害、昼夜逆転生活
・人に注目されるのが恐い
・ある事件をきっかけに人格が変わる
・慢性的な興奮状態が続く、キレやすくなり感情が爆発する
・記憶喪失、過去の辛いことの記憶がない
・自分の感情が分からない、怒りを感じない、生きている実感がない、疲れに気づかない
・現実感を失う、現実か空想か分からない
・感情のおもむくままに行動し、自分の行動を覚えていない
・別の人格が形成され、幼児退行したり、怒りの人格が突然暴れるなど、全く別人のように行動する(多重人格)


引きこもりの原因

引きこもりは、その大部分がストレスと関係しています。人を引きこもり状態にさせてしまうほどの強いストレスはトラウマ(心的外傷)と呼ばれていますが、多くの引きこもりの場合、ひどいイジメや体罰、裏切りなどがトラウマになります。
最も多いのが、イジメ、体罰、虐待などから起きる引きこもりです。当事者は生命の危険を感じるほどのトラウマを体験しており、対人恐怖、対人不信、慢性的な興奮、恐怖心や警戒心などのPTSD 症状を呈します。
一方で、辛く悲惨なできごとよりも、裏切りの方がひどいトラウマになるという報告もあります。イジメや体罰を受けた時に、親が子供を助けないと、子供は親に裏切られたと感じます。多くの家庭内暴力は裏切られたことによる悔しさの現れです。自分の苦しさをわからせるために、子供が親に暴力を振るうといわれています。
そして、ストレスが長期間溜まると複合型のトラウマになります。親に褒められようと良い子を演じる、他人に嫌われまいと過度に気を遣うなど、ストレスを溜めて消耗してしまう場合です。試験の失敗などの些細なことで引きこもる場合、背後には複合型のトラウマが隠れているケースがあります。

引きこもりの当事者は、自分の今までの人生の中で、度々傷付いてきた人たちです。一般的に言うと、傷つきやすい、周りの人間に比べて感受性がとても高いといえます。引きこもりは、そうした傷つきやすい人にとって、目に見えないところで確実に追いつめられ、もう耐え切れない、これ以上自分を支えきれないという所まできてしまったギリギリの選択だといえます。

なお、環境要因として、日本人特有の親子間の共依存体質が、引きこもりを助長させているともいえるでしょう。また、引きこもりの多くが中流家庭で生じているということは、、経済的な余裕がない家庭では、概して子供は学校に行かないのであれば好むと好まざるとにかかわらず外で働くことを余儀なくされ、部屋に引きこもるということが物理的に実行しにくいといえます。


引きこもりの予防策

厚生労働省は、家族への支援を第一に考えることを原則とした引きこもりのへの行政上の対策指針を出しています。また、文部科学省は、不登校や引きこもりを積極的に予防する方策として、システム論に基づくカウンセリングシステムを構築することに着手しています。
しかしながら、いくら行政が枠組みを用意しても、正しい運用ができなくては効果はありません。個人主義の徹底した欧米諸国であまり「引きこもり」が見られない理由を考えれば、いじめや無視など、引きこもりの多くが周囲から村八分にされているという現状においては、クラスメートや職場の同僚、両親の理解・意識が変わらない限り、引きこもりは根本的になくならないと思えます。それには両親が、教育者が、引きこもりについてのみならず、しつけや教育の大切さを正しく理解し、信念を持って子供と対峙し、メディアは有害コンテンツを排除し、幼少時より正しい人格形成をしていく必要があります。忘れてはならないことは、親が自立していない限り、子供との(甘えの)共依存体質を改善することは難しいのです。


引きこもりの治療法

引きこもりの治療は、なんといっても早期発見早期治療です。一般に、3ヶ月以内の不登校などであれば、比較的早期に元の生活に戻ることができるといわれています。
引きこもりの根本的な解決方法は、性格を変えるか環境を変えるかのどちらかまたは両方です。しかし、現実には性格は就学前に形成された性格を変えることは不可能だし、家庭環境、友人、学校などの環境を変えることもきわめて難しいといえます。また、環境を変えるだけでは逃避にしかならず、再び同じような環境に置かれたときにまた引きこもってしまう可能性も拭えません。
となれば、何とか自助努力で社会復帰を目指すしか道はありません。
引きこもり治療の具体的な方法としては、精神的改善アプローチと社会性回復アプローチが考えられます。
精神的な側面へのアプローチでは、引きこもりを精神疾患のひとつとみなし、カウンセリングや薬剤などを利用して改善に努めます。引きこもりが長期化して、PTSDや解離性障害などの個々の症状を発現している場合は、専門の治療を受ける必要があります。
一方、主に欧米式の考え方でもある社会性回復アプローチは、家を出て仲間と共同生活をさせることで、社会性を回復させるものです。

家庭内暴力と食事以外は自分の部屋から一歩も出ないというひどい引きこもり状態であったのが、専用施設に入って共同生活を始め、徐々に周囲から受け入れられるようになり、半年ほどで普通の生活を送れるようになったケースも目にします。親や友人、先生など、心を許せる、信頼できる人間が周りにいれば、当事者が考え方を変え、前向きに積極的に人生を歩んで行こうという気になるはずです。

●考え方を変えてみる
1.一気に「上がり」を考えず、とりあえず一歩前進で良しとする
2.世間体のことなど考えない
3.完ぺき主義を捨て、やれることからやる
4.「~であるべき」といった観念主義を捨て、己の人生観を自由にして楽になる
5.焦ったところで仕方がない、これ(引きこもり)も人生だと腹を据える
6.引きこもりも、悪いことばかりではない、自分の時間を有意義に過ごそう!