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痔とは

痔とは、肛門部周辺の静脈が圧迫され血液の流れが滞ることによって発生する炎症性疾患の総称です。 痔には、3大痔疾患といって、痔核(いぼ痔)、切れ痔(裂肛)、痔瘻(うみ痔)に大別できます。この3大痔疾患がお尻の病気の9割を占めます。その内でも、痔核、ことに内痔核は痔全体の5割を占め、残りは、外痔核、裂肛、痔瘻などです。従って、一般に痔といえば内痔核を指すことが多いものです。
痔は遺伝形質もあることながら主に生活習慣によって起こるもので、50歳以上の2人に1人は何らかの痔疾患があるといわれています。男性よりも女性のほうが多いくらいで、女性はもともと肛門括約筋が弱くて傷つきやすい構造をしており、妊娠中に痔になったという女性の多くは妊娠前からもっていた痔が悪化したためです。妊娠すると便秘しやすくなり、さらに妊娠中期以降になると、大きく重くなった子宮が直腸や肛門を圧迫するとともに、静脈も圧迫するために血液の循環が悪くなり、うっ血が起こり痔が悪化します。
痔の治療には、薬と手術の両方が用いられますが、最近ではレーザー治療が中心になってきました。 排便時の出血などから、自分では痔だと思っていたものが、実は直腸がんだったりすることもあるので、痔だからと言って怖がったり恥ずかしがったりせずに早期発見・早期治療することが大切です。


痔の種類

痔には、大きく分けて、痔核(いぼ痔)、切れ痔(裂肛)、痔瘻(うみ痔)の3つの種類があります。

●痔核(いぼ痔)
痔核(いぼ痔)は、痔の中で最も多い病気で、直腸肛門部の血行が悪くなり、静脈に欝血が起こり、いぼのように腫れあがってくる疾患です。立ちっぱなしや座りっぱなしの生活などから肛門部の血行障害によってできる痔で、痔核には歯状線よりも上の粘膜の部分にできる内痔核と、下の皮膚の部分にできる外痔核があります。
内痔核では最初のうちは排便時の出血のみで痛みはありませんが、病状が進むとイボが肛門の外に出て炎症等による痛みを生じる場合があります(脱肛)。出血は、走るように出たりポタポタとたれたりするのが特徴です。大半の痔主はこの内痔核で悩んでいます。
一方の外痔核では、いきみ等から生じる肛門皮下の静脈の血栓や血腫で強い痛みを感じるようになります。主な症状は痛みで、出血は少ないようです。また、血栓性の静脈炎を併発すると激痛を感じるようになります。自覚的に肛門部の腫れ、ふくらみがあるのが分かることが特徴です。

●切れ痔(裂肛)
切れ痔(裂肛)は、硬い糞便にこすられたりすることによって歯状線より下部の肛門の粘膜に切り傷が入ったもので、便秘がちな多い女性に多い痔疾です。
主な症状は、排便時や排便後の激しい痛みで、出血は少ないことが多いです(排便時に少量の出血も見られます)。ひどくなると、排便後もずきずきと頭に響くような痛みが長く続きます。
切れ痔になると排便時に痛むため、トイレをがまんしてますます便が硬くなり、傷が慢性化して肛門潰瘍となって、肛門が狭くなってしまいます。そしてますます便が通りにくくなり、傷がひどくなるといった悪循環を繰り返します。出血は紙につく程度であっても、排便後もジーンとした痛みがつづくようなら肛門狭窄の徴候があり手術を検討します。

●痔瘻(うみ痔)
直腸と肛門の境目の小さなくぼみから大腸菌などが入り込み、直腸と肛門の周囲が化膿したものを肛門周囲膿瘍といいます。この肛門周囲膿腫瘍が肛門の外側に腫れあがってきて自然に破れたりすると膿みが出て直腸、肛門とつながった膿みの管ができます。これを痔瘻といいます。
症状は、突然、肛門周辺が赤く腫れて発熱したり、激痛を伴う痛みがあります。膿がジクジクと出て不快感がある。また、進行すると肛門の周りが腫れて激痛が続き高熱を伴う場合があります。痔瘻は難治でいつも不快感があり、癌化することもあります。基本的には手術するしか治す方法はありません。


痔の症状

痔の症状は、痔の種類によってさまざまですが、一般的な痔の症状は「出血」と「排便時の痛み」です。特に出血は痔核(イボ痔)に顕著で、赤い血がシュッと飛びちります。神経のないところなので、痛みはあまりありません。逆に、切れ痔(裂肛)は、たくさん神経がある肛門管に発生するため、排便時に激痛がおこります。一方、痔瘻(うみ痔)では、肛門周辺が赤く腫れて発熱したり、激痛を伴う痛みがある。膿がジクジクと出て不快感があるといった、さまざまな症状が特徴です。

なお、痔の出血だと思っていたものが、実は直腸がんだったということがわかり、手遅れになるケースもあります。疑わしい場合は、速やかに専門医を訪れるようお勧めします。

(それぞれの痔の症状については、「痔の種類」を参照してください。)


痔の原因

痔は肛門周辺に起こる炎症ですが、痔の炎症を起こす原因には、便秘、下痢、肉体疲労、ストレス、長時間の座り姿勢、冷え、飲酒、刺激物摂取、肛門部の不潔などが考えられます。
便秘や下痢は肛門の粘膜を傷つけ、座ったままの姿勢や大量の飲酒、刺激物の摂取は肛門を刺激してうっ血を招き、血行不良から炎症を悪化させます。また、冷えや喫煙、睡眠不足も血管を収縮させてうっ血を加速させます。排便時のいきみすぎて肛門に負担がかかると、粘膜下部分がうっ血して大きくなり、出血したり粘膜下部分を支えている組織がちぎれたり、便を出すときに一緒に肛門の外に飛び出したりします。
肉体疲労やストレス、冷えなどにより身体の免疫力、抵抗力が低下すると、細菌などの繁殖を許して炎症を悪化させることになります。

それぞれの痔の原因については、「痔の種類」を参照してください。


痔の予防策

「痔」は生活習慣病です。日ごろの生活習慣の改善により、痔を未然に防ぐことが可能になります。 

●毎日入浴すること
毎日の入浴により血行が良くなり、肛門部が清潔なります。

●肛門部を清潔にすること
肛門が汚れていると細菌が繁殖します。排便の際にはウォシュレットを利用するか、水やお湯で洗うと良いでしょう。しかし洗いすぎは常在菌を除去してしまい逆効果になりますので、洗いすぎには気をつけます。

●便秘をしないこと
便秘をすると便が腸内にたまり、肛門部を圧迫します。また、便が硬く、太くなるので排便時に肛門部に傷をつけてしまうことにもなります。

●下痢をしないこと
下痢は直腸や肛門部を刺激します。また、不潔にもなるので細菌感染の原因ともなります。

●排便は手早く済ませること
肛門部を傷つけないために、完全に出し切ろうといきみすぎないようにすることが大切です。

●腰を冷やさないこと
腰を冷やすと肛門部の血行が悪くなり、痔を招きやすくなります。

●座りっぱなしなど、長時間同じ姿勢をとらないこと
タクシードラバーなどに痔が多いように、座りっぱなしや立ちっぱなしでいることにより、肛門部にうっ血をきたします。

●大量の飲酒や刺激物の摂取を控えること
強いアルコールや唐辛子、わさびなどの香辛料などは肛門部を刺激し、うっ血をきたします。

●水分や野菜、果物を充分に摂ること
便秘の予防にも繋がりますが、便を軟らかくするためにも、食物繊維の豊富な野菜や果物を充分摂ることが必要です。

●健康維持に気をつけること
体力低下で免疫力が落ちたときに痔になりやすいので、睡眠を十分とって規則正しい生活をするようにします。


痔の治療法

痔は遺伝形質もありますが、主に生活習慣によって起こるものです。痔は炎症性の病気ですから、まずは坐薬軟膏が治療の基本です。痔瘻以外のほとんどの症状は、坐薬軟膏で良くなるはずです。 なお、最近の手術では、準備に30分、手術に30分と、(術後の休息を含めて)数時間での日帰り手術も可能になりました。手術後はしばらくの間、通院が必要です。
日常生活の改善で症状が良くならない場合は、恥ずかしいからと診察を先延ばしにせずに、早めに専門医を訪れましょう。

●痔核(いぼ痔)
軽い症状であれば、日常生活における予防法を実践しながら、症状が緩和するまで坐薬軟膏を塗布すればよいでしょう。出血がひどい、激痛、いぼ痔が戻らないなど症状が重い場合は、専門医に診てもらう必要があります。場合によっては手術が勧められます。

●裂肛(切れ痔)
日常生活での予防法をしっかり実践するとともに、便を軟らかくする内服薬を服用し、傷口に坐剤軟膏を使用すれば、1~2週間で治ります。

●痔瘻(うみ痔)
痔瘻は坐薬軟膏では良くならないので、手術が必要です。放置しておくとどんどん病巣が深くなりますので、なるべく早いうちに手術をすることが望まれます。