食中毒のいろは

病気のいろは
頭の病気 - 脳
頭の病気 - 目
頭の病気 - 鼻
頭の病気 - 口
頭の病気 - 耳
頭の病気 - 他
全身の病気
内臓の病気 - 肺
内臓の病気 - 心臓
内臓の病気 - 胃
内臓の病気 - 肝臓
内臓の病気 - 腸
内臓の病気 - 腎臓
内臓の病気 - 他
骨の病気
関節の病気
血液の病気
皮膚の病気
心の病気
女性の病気
性関連の病気
その他の病気
深呼吸ダイエット
食中毒とは 食中毒の種類 食中毒の原因 食中毒の予防策
食中毒の治療法

 食中毒の方に役立つ無料小冊子

食中毒とは

食中毒とは、有害な微生物(細菌、ウイルスなど)や化学物質等のいわゆる毒素を含む飲食物を摂取した結果として起こる、下痢や嘔吐、腹痛、発熱などの中毒症状の総称です。
広義にはフグや貝、キノコ、ジャガイモの芽などの自然毒も食中毒に含めることがありますが、アルコール中毒は含まれません。一般には細菌による食中毒を指します。
現在日本では、16種類の病原菌が食中毒原因菌に指定されています。その中でも、サルモネラ菌・腸炎ビブリオ菌・病原性大腸菌(O-157)・黄色ブドウ球菌・ボツリヌス菌は注意が必要で、特に猛毒を出すボツリヌス菌はひときわ死亡率が高いため、早期の治療が必要です。
食中毒は学校給食などで集団発生することが多く、気温や海水温の上昇する6月から9月に発生のピークを迎えます。共通する予防法は、食品を充分加熱したり、早く食べること、よく手を洗うこと、調理器具を清潔に保つことなどです。


食中毒の種類

食中毒は、中毒を起こす原因により種類がわかれます。

【感染型】
●サルモネラ食中毒
 サルモネラ菌は家畜や家禽の腸管内に棲みつき、犬や猫、ミドリガメ、ヘビなどのペットも保有しています。1885年にドイツの学者サルモンによって豚コレラ菌が発見されたのを機に、この菌を含む一群の菌をサルモネラ属と呼ぶようになりました。代表的な食中毒のひとつで、感染侵入型といわれています。
 症状: サルモネラ菌に汚染された食品摂取後、半日~2日で吐き気や腹痛が起こります。この後、水様の粘血便が出て、38℃前後まで発熱し、下痢を繰り返すといった症状が1~4日ほど続きます。ほとんどの場合は点滴や抗生物質などで治癒します。カゼと症状がよく似ているのが特徴です。
 要注意食品: 牛・豚・鶏などの食肉、卵などで、ペットからも感染します。

●カンピロバクター食中毒
 近年発生件数が増えている食中毒菌です。ふだんは鶏や牛などの腸に住み、食品や飲料水を通して感染します。少量で感染し、人から人へ二次感染したり、ペットから接触感染することもあります。
 症状: 潜伏期間は2~7日。発熱、けん怠感、頭痛、めまい、筋肉痛などに始まり、次に吐き気や腹痛を生じます。その後、数時間から2日後までに下痢がおこり、水様便が出ます。1日の下痢回数は2~6回くらいで、ときには10回以上におよぶこともあります。
 要注意側品: 生の鶏肉や牛肉、生乳などの畜産品や飲料水など

【生体内毒素型】
●腸炎ビブリオ食中毒
海中にいる腸炎ビブリオ菌は、海水温の上がる夏になると海産魚介類を介して集中的に発生します。熱に弱くて100℃では数分で死滅し、また5℃以下ではほとんど増殖しませんが、増殖力は強く二次感染を起こすので、調理器具の扱いには注意が必要です。
 症状: 汚染された食品摂取10~24時間後に激しい腹痛と下痢がおこります。特に腹痛はさしこむような激痛で、激しい苦しさを伴います。また、激しい下痢がなんども続くため、脱水症状をおこすこともあります。ほとんどは抗生物質の投与などで2~3日で治癒しますが、肝臓の悪い方が劇症型にかかると、約半数の方が亡くなられます。
 要注意食品: アジやサバ、タコやイカ、赤貝などの魚介類

●病原大腸菌食中毒
 病原大腸菌とは、腸炎をおこす大腸菌です。腸管組織侵入性大腸菌、腸管病原性大腸菌、腸管毒素原性大腸菌、腸管凝集性大腸菌、腸管出血性大腸菌の5種類があります。いずれも食品や飲料水から口を通って感染します。
●腸管出血性大腸菌O-157
 病原大腸菌の中でも最も代表的なのが、近年小学校などで深刻な被害を出しているO-157です。O-157は「ベロ毒素」という強力な毒素をつくり出し、これが体内に侵入すると大腸をただれさせ、血管壁を破壊して出血をおこします。そして腎臓に障害を与え、脳や神経にも作用して、発病してから短期間で生命を奪うこともあります。
 症状: まず激しい腹痛がおこり、下痢をくりかえしますが、風邪のような症状が現れることがあります。2日目以降になると、血の混じった下痢便が出るようになります。血便は真っ赤な鮮血が特徴です。ときには腎臓に害が及んで尿が出にくくなり、体がむくむようになります。なお、最近の小学校低学年児の集団中毒では、下痢止めがよく効いたお子さんが亡くなったり重症化したといわれています。
 合併症: 溶血性尿毒症症候群、腎不全、血小板減少症、溶血性貧血、脳症
 要注意食品: 肉、井戸水などの水質汚染


【生体外毒素型】
●黄色ブドウ球菌食中毒
 ブドウ球菌は自然界に広く分布しており、人間の鼻やのど、皮膚の傷口やあかぎれなどにも棲んでいます。菌が体内に直接入って作用するのではなく、食べ物の中で菌が大量に増殖して産生する「エンテロトキシン」という毒素によって食中毒を発症します。特に、調理する人の手や指に傷や湿疹があったり、傷口が化膿しているような場合は、食品を汚染する確率が高くなります。黄色ブドウ球菌は乾燥に強く、加熱してもこの毒素は消えないので加熱処理では予防できません。また、黄色ブドウ球菌は塩漬けの中でも生き続けることができるので、保冷に努める必要があります。
 症状: 汚染した食品を食べた後、およそ3時間以内に吐き気や激しい嘔吐がおこります。腹痛や下痢も伴いますが、38℃以上の高熱になることはあまりありません。ほとんどが24時間以内に回復しますが、脱水症状になると点滴などが必要になります。
 要注意食品: おにぎりや弁当、サンドイッチやケーキなど。ほとんどの場合、菌が調 理する人の手から伝わって食品に取り込まれます。

●ボツリヌス菌食中毒  
 ボツリヌス菌は土の中、海や湖の泥の中に棲み、嫌気性なので酸素がないびん詰、缶詰、真空包装食品などで増殖し、猛毒を産生します。ボツリヌス菌は、長時間煮沸しても死なず、致死率の高い恐ろしい細菌なので注意が必要です。
 症状: 感染してからおよそ8~36時間後に、吐き気、嘔吐、便秘などがおこります。特徴的なのは、脱力感、けん怠感、めまいを感じることです。症状が進むと、物が二重に見えたり(複視)、まぶたが下がったり、発声困難や嚥下困難を生じます。ときには、尿が出なくなったり、歩くこともできなくなります。発熱はなく、意識もしっかりしていますが、治療が遅れると呼吸困難などを引き起こして死亡します。
 要注意食品: からしレンコン、いずし、自家製の野菜や果物の缶詰、輸入キャビア、自家製の魚のくん製、海外からのの真空パックによる魚のくん製や酢漬け、塩漬けなど。

●ウエルシュ菌食中毒●セレウス菌食中毒 ●ナグビブリオ食中毒 ●エルシニア食中毒

【ウイルス性食中毒】
●ノロウイルスによる食中毒
ノロウイルスに汚染された牡蠣などを食べることで生じる急性胃腸炎で、激しい嘔吐と下痢をしめすの集団発生が世界各地で多数報告され、注目されました。このウイルスによる食中毒は、ヒトからヒトへ2次感染するのが特徴で、多数の患者が一度に集団で発生します。
 症状: 潜伏期は1~2日間で、主な症状は嘔吐と下痢です。特徴的なのは発病当初に激しい症状をおこすことです。また、頭痛、発熱、咽頭痛など、かぜとよく似た症状がみられる場合もあります。通常は発症後3日以内に治癒します。
 要注意食品: 牡蠣の他、保菌者が手にするサラダ、果物、パンなど。


食中毒の原因

フグやキノコなどによる自然毒や化学物質による中毒(毒素型)を含めた広義の食中毒において、その90%以上が細菌やウイルスによる食中毒だといわれています。
食中毒原因菌が食中毒症状を引き起こす仕組みについては、感染型と毒素型に分かれ、毒素型はさらに生体内と生体外の2つのタイプがあります。

◆感染型──サルモネラ菌、カンピロバクター菌など
 細菌に汚染された食品を口にすることで、生きた菌自らが食中毒を引き起こす食中毒です。腸管にたどり着いた菌が腸管内でさらに増殖し、腸管組織に侵入して組織を破壊して炎症を起こすことにより、腹痛や下痢、血便などの症状が出ます。

◆生体内毒素型──腸炎ビブリオ菌、病原性大腸菌など
 病因菌が腸管内で作り出す毒素により、食中毒を発症します。菌によって作り出す毒素が異なり、症状も様々ですが、主に激しい腹痛、下痢、発熱などが見られます。病原性大腸菌のO-157が出す「ベロ毒素」が最近ではよく問題になっています。

◆生体外毒素型──ボツリヌス菌、黄色ブドウ球菌など
 食品内であらかじめ細菌が増殖し、菌が産生した毒素を直接経口摂取することで発症する食中毒であり、原因菌による感染ではありません。

食中毒の原因菌は人から人へ二次感染しないとされていましたが、O157 などの腸管出血性大腸菌やノロウイルスなどは患者から患者へ感染するため、そうした対策・注意が必要です。

個々の食中毒の原因については、「食中毒の種類」を参照してください。


食中毒の予防策

食中毒予防の基本は、1.菌をつけない(清潔・水洗い) 2.菌を増やさない(迅速・冷却・乾燥) 3.菌をやっつける(加熱)です。

まず、生鮮食品は新鮮なものを購入し、食中毒を起こす菌のついた可能性のある食材は食べないということ。飲料水などにも注意が必要です。そして菌を食材につけない事が大切です。冷蔵庫の中で、肉や魚が他の食品に接触しないようにします。調理器具や台所の洗浄・除菌や十分な手洗いをすることが望まれます。なお、マナ板は、肉や魚介類用と野菜専用とに分けて使うとよいでしょう。
次に、食材は新鮮なものを使い、食中毒菌が増殖する時間を与えないようにします。また、調理したものは、早めに食べるよう心がけます。食中毒は複数の食材を一緒にしまったりすると大変起こりやすいので、冷蔵庫の中に詰め込み過ぎないようにしましょう。
そして、食中毒菌の多くは30~40度でよく増殖し、80度以上では死滅することから、食品を十分加熱することが大切です。特に、生肉、生レバーなどは食べないようにします。(ボツリヌス菌やウェルシュ菌など芽胞をつくるものは100℃でも死にませんが、加熱により発症を抑えることはできます。) 反対に菌は低温度では増えにくいので、食品は冷蔵(5℃以下)や冷凍により保存し菌の増殖を抑えます。塩漬けも増殖を抑える効果がありますが、塩に耐性のある菌もいるので、温度管理は絶対に必要です。

なお、ストレスや過労、睡眠不足が食中毒の引き金になる場合もあります。病気であったり体力が落ちていたりすると、本来なら何ともないはずの食中毒菌に対する免疫力、抵抗力が落ちるため、食中毒にかかり易くなります。


食中毒の治療法

細菌性食中毒の治療は、下痢や嘔吐、腹痛などの臨床症状の軽減や脱水症に対する対症療法が主体となります。特に下痢の症状が強く、水様便が激しいようでしたら、脱水症状には充分注意します。症状が強い場合は入院させ、点滴療法が主体の治療を行います。抗菌薬の投与は通常の場合は行わないようにし、発熱や感染症状が遷延するような場合にのみ使用します。 最近の小学校低学年児のO-157集団中毒では、下痢止めがよく効いたお子さんが亡くなったり重症化したといわれているため、早く毒素を体外に排出するためにも、止痢薬は原則として投与しないことになります。
感染が強く原因菌の増殖を防がなくてはならない場合には抗生物質が使われますが、強力な殺菌力のある抗生物質は、O-157のような猛烈な毒素を産生する菌に使用すると、かえって菌を破壊することにより菌体内の毒素(ベロ毒素)を放出させ、症状を悪化させる可能性があります。そうした場合は、静菌的といわれる殺菌力の強くない抗菌剤を用いて菌の増殖を押さえ、体力の回復を待つことが望まれます。